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盲目王子と悪魔 その2


あわれな王子様は、あの恐ろしい出来事の後、家来たちの手によって、都から遠く離れた、森深く、寂れた小さな村に流されていました。
村人たちは王子様を不憫に思いましたが、その小さな村でほそぼそと暮らすだけの彼らに、一体何ができたでしょうか。
何年たっても、王子様を助けてくれる者はだれも現れませんでした。

王子様は何も見えません。
何もできないのです。

王子様には身の回りの世話をさせる従者の少年が一人いました。
彼は王子様にずっとつきそって、ただ懸命にお世話するのです。
少年は王子様が好きでした。
王子様は少年が嫌いでした。

王子様は少年が語る明るげで楽しげな話が嫌いでした。
少年のかん高い声が嫌いでした。
少年が自分を元気づけようとしているのが嫌いでした。
少年が自分をあわれんでいるのが嫌いでした。

ただ、少年がときどき語る、貧しく不幸な身の上を聞くのは好きでした。

王子様は毎日毎日少年を残酷な言葉でののしりました。
「お前のような卑しい身分は生きている価値も無い」と、「どうして俺の目はつぶされて、お前の目はつぶされないのか」と。
「お前には俺の苦しみがわからないだろう」と「目の見えない者を見るのはそんなに楽しいか」と王子様は叫びます。
少年はそれをただじっと聞いているだけでした。
王子様はますますその少年が嫌いになりました。

お昼頃になるとその村には美しいピアノの旋律が走ります。
王子様が暮らすお屋敷(もともと教会として使われていたようです)には、古ぼけたピアノが置かれてました。
王子様の唯一の楽しみは、そのピアノをまるでオペラ歌手のように華麗に歌わせることでした。
このときだけは、王子様は自分のみじめな運命も、全ての人間に対する激しい憎悪も、忘れることができました。

少年は王子様のピアノを聴くのが好きでした。
その華麗な曲の数々ももちろん大好きでしたが、王子様の楽しげな様子を見ることは、少年にとってなによりうれしいことでした。

毎日毎日その村では、そんな同じ様な日常が流れていきました。

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