盲目王子と悪魔 その3
ある夜のことでした。
王子様はなぜだか目がさえてしまって、少年のようにらくらくと眠りこむことができません。
王子様は今日が満月の夜かなと思いました。
王子様は少年の寝息を聞いて、少年がすっかり眠りこんでいるのを確かめると、部屋の扉を静かに開けて、そっと外に出ていってしまいました。
王子様がこんなふうに見あたらなくなると、少年はいつも泣きながら王子様を探し歩きます。
王子様はそんな少年の困りはてた様子が愉快で、滑稽で、よく少年が困ってしまうようなことを進んでなさるのです。
この夜も王子様は少年を困らせようと、森の奥深くまで入っていかれました。
とてもすがすがしい夜風が流れていて、王子様は、ああ、空にはきっと満天の星が置かれていることだろう、と思われました。
森の奥深くから、ぐうぐうと木々が鳴る音が聞こえます。
ここまで来てしまったら王子様はもう一人でお帰りなることはできないでしょう。
あとは少年を待つだけです。
しかしその前に王子様は奇妙な物音を聴いてしまいました。
それは動物の泣き声のようでした。
そんなに離れているようには聴こえません。
王子様はじっとその物音を聴いていました。
きっと動物が動物を狩って、食べているのでしょう、もう泣き声は聴こえません。
「なんてまずい肉だ。こんなもの犬も喰わねえ」
王子様は耳を疑いました。
確かに言葉か聞こえたのです。
こんな森深くに人間が!?
しかしその言葉のようなものは、ひどくしゃがれていて、どす太く、気味の悪いものでした。
「まったく筋ばっかで脂身なんかどにもねえじゃないか」
それは確かに言葉に聞こえるのです。
「誰か、誰かいるのか!?」
王子様は立ち上がり得体の知れない声に向かってこう言いました。
「人間!人間のガキがいる!」
その声はまるで目の前から発せられたように、急に大きく、近くなり、王子様はその驚きで倒れこみそうになる体を、必死で木にしがみつかせました。
王子様はご自分が恐怖で震えていらっしゃるのに気がつきました。
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